2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20074
事業継続性や経済被害の分析において初期操業能力は回復の起点を与える重要な指標である.さらに,初期操業能力は被災を免れた施設・設備の割合に関連するという意味で耐震安全性の指標ともなっている.本稿では,近年の地震の被害実態や業種毎の特徴を反映した地震発生直後の操業能力の評価方法を検討した.具体的には,2016 年熊本地震や 2022 年福島県沖の地震の被害調査データから 11 業種毎の操業能力の機能的フラジリティカーブを作成した.業種区分を細分化した結果,製造業(生活関連型)や対個人サービス業で操業能力が低下し易く,鉱業・建設業や運輸・情報通信業等は操業能力が低下し難い等の各業種の耐震安全性の傾向が明らかとなった.また,2011 年東北地方太平洋沖地震発生当時と比較すると製造業・非製造業ともに耐震安全性の改善が確認された.