2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20083
地方都市の商店街では,長期にわたる空き店舗の存在が活性化の際の課題の 1 つとなっている.空き店舗が長期化する理由としては,物件やその所有者の固有な要因とともに,周辺環境が関係すると考えられる.本研究では,空き店舗の長期化についてその立地と周辺環境の関係に着目し,空間的位置関係が空き店舗の継続や消滅に与える影響を明らかにする.具体的には,鳥取駅前の商業エリアを対象に,独自の踏査で収集した 6 年間隔 2 時点の空き店舗立地データを用いて,空き店舗の長期化と周辺環境との関係を実証的に分析した.その結果,特に,空き店舗の近接地に他の長期空き店舗が存在することが,空き店舗の長期化に正の関係をもつことを明らかにし,近接する複数空き店舗の放置は長期にわたる空き店舗クラスターを発生させる危険性を示した.