2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20127
近年,全国各地において空き家が増加しており,管理不全な空き家による外部不経済は,防災・防犯,衛生,景観など多岐にわたる.また,物件の市場性の低下をもたらし,不動産としての有効活用の機会損失にもつながる懸念がある.そこで,本研究では成約に結び付いた空き家物件の内部的要因,立地的要因を把握するため,全国版空き家バンクに登録された物件を対象に,物件詳細情報や周辺施設,都市計画区域等を説明変数として,成約に与える影響を判別分析によって明らかにした.判別分析結果や既往研究整理から,市街化区域かつ鉄道駅や保育園・幼稚園から離れた交通利便性が低い地域が,空き家が発生しやすく成約されにくい課題箇所となる傾向にあることが明らかとなった.