2024 年 80 巻 20 号 論文ID: 24-20136
地域公共交通計画の多くは利用者数や収支等の“交通の状況評価”に主眼が置かれ,“住民の豊かな生活の実現にどれだけ寄与するか”といった本源需要の充足にあまり目が向けられていない.原因のひとつとして,本源需要の充足を見据えた現状評価や目標設定のための適切な指標の未整備という実態が推察される.本論文では,「活動機会指標を用いた移動環境の定量評価に基づく計画策定方法論」の社会実装として策定した宝塚市地域公共交通計画の考え方と評価結果,活動機会指標による計画目標値の設定,それを達成するための事業選定,方法論が大きな支障なしに機能し計画のとりまとめに至った経緯等について報告するとともに,計画の目的を明確化したうえで定量指標による合理的根拠(エビデンス)に基づき計画を策定することの有用性について考察する.