2024 年 80 巻 22 号 論文ID: 23-22004
本研究は,豪雨による外水氾濫を対象に,災害廃棄物の発生量・組成・空間分布を瞬時に予測できるシステムを提案するものである.システムにおけるすべての機能と必要なデータベースはオンラインのGoogle Colab上で実装しており,システム使用者は浸水深のGISデータのみをアップロードするのみで,煩雑な環境構築を行うことなくただちに災害廃棄物発生状況の推定ができる.本システムを豪雨災害で被災した2019年の長野県長野市および2020年の熊本県人吉市に適用した結果,廃棄物の組成ごとの発生量に誤差を含むものの,解析の高速性と災害廃棄物の空間分布においては妥当性が確認できた.以上の理由から,本システムは地方自治体の災害廃棄物処理の実行計画策定を支援できるものと考えられる.