2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25032
茨戸川は漁業やレジャー等に利用されており水質への関心が高い.閉鎖性の高い三日月湖である茨戸川は,富栄養化が深刻だった時代と比較して水質は改善した.しかし,近年の茨戸川の水質を詳細に調査した研究はない.また,底泥からのリン溶出や関連する底泥中金属元素も定量されていない.そこで本研究では,湖水と底泥コア試料を高頻度でサンプリングし,茨戸川における内部リン溶出を調査した.その結果,夏季において湖沼成層化が確認され,内部リン溶出が促進されていた.夏季における底泥からのリン溶出速度は7.89mg-P/m2/dであった.底泥中には鉄が多く含まれており,泥炭地に存在する湖沼の特徴を有していた.底泥中には鉄結合リンが多く含まれていることが考えられ,底泥からのリン溶出に寄与していることが示唆された.