2024 年 80 巻 25 号 論文ID: 24-25040
本研究では, 微生物を用いたセメンテーション技術で必須である尿素分解菌をdown-flow hanging sponge(DHS)リアクターとisolation chip (ichip)法を用いて単離することを目的とした. 本実験で構築した尿素供給DHSリアクターでは, ほぼ全ての尿素がアンモニウムに分解されることが明らかとなった. また, 16S rRNA遺伝子に基づく微生物群集構造解析によって, 多種の尿素分解菌が生息していることが明らかとなった. ichip法で単離できた微生物は, バイオセメンテーションによく利用されるSporosarcina pasteurii(旧Bacillus属)と同程度のウレアーゼ活性を有していた. 単離株の16S rRNA遺伝子を解析した結果, S. pasteuriiと同種(遺伝子相同性99.57%)であった. さらに, S. pasteuriiが属するSporosarcina属やBacillus属は微生物群集構造解析の結果, 1%であったことから今回の方法によってDHSリアクター内の存在割合が少ない微生物の単離が可能であることが示唆された.