2024 年 80 巻 26 号 論文ID: 24-26011
第五次環境基本計画にて提唱された地域循環共生圏において,特に小規模自治体において自地域内での資源循環を把握し,かつ他地域との連携を図ることが重要であるとされている.そこで本研究では小規模自治体である北海道興部町を対象として,地域事業者への直接ヒアリングにより地域内資源循環を表現する「資源循環マップ」を作成する手法の提案と実践を行った.各町内産業に入る資源の品目,それが町内・町外のどこから来たのか,そしてその産業から何の資源がどこへ出ていくのかといった構造を可視化することができた.また,各産業のミクロな資源の動きだけでなく,町内全体としてのマクロな資源循環構造も可視化することができた.さらに中心性指標やクラスター検出といったネットワーク分析により,現状の興部町の地域資源循環構造の特徴として,酪農関係のバリューチェーンが発達していることや,家畜ふん尿および生ごみ等を処理・活用するバイオガスプラントを中心に複数の資源循環が起きていることが客観的指標を用いて明らかになった.