2024 年 80 巻 26 号 論文ID: 24-26023
洪水ハザードエリアの建設資材ストック・フローを把握することは,将来の洪水被害予測や洪水ハザードエリアの土地利用規制を検討する際に重要である.本研究では,日本全国で建築物一棟単位から建設資材ストックの推計を行い,洪水ハザードエリアの建設資材ストック・フローを明らかにした.結果,洪水ハザードエリア内の建設資材ストックは2003年から2020年にかけて増加しており,全国の建設資材ストックの約42%を占めていた.浸水深3m以上のハザードエリア内の低層木造建築物由来のストックは2020年に全国で1.95億トンであった.全国的にハザードエリア内外で建設資材ストックの更新率が同程度となった.洪水被害を受ける可能性の高い建設資材ストックが年々増加しており,建物立地を決定する際に洪水リスクが考慮されていない可能性が示された.