2024 年 80 巻 27 号 論文ID: 24-27023
日本の1人あたり食肉消費はOECD38カ国中2番目に低い.食肉消費の低い食生活への移行は温室効果ガス(GHG)排出削減効果が大きいことが知られている.本研究では日本で推奨される食事内容を日本食とし,食肉消費の低い日本型食生活が世界に普及することで環境や食料システムにどのような影響を与えるか分析した.その結果,日本食の普及により2050年世界のGHG排出量は食事内容変更を行わないベースライン比で6.6%増加した.この増加は主にアフリカ地域のGHG排出量増加に起因し,世界の需要変化に伴う食料価格変化を通じて,他地域に比べ安価に生産できるアフリカ地域でのコメと食肉生産増が主な要因であった.環境対策としての日本型食生活の普及には,食肉からのタンパク質源の移行と稲作でのメタン排出削減対策が必要である.