2024 年 80 巻 27 号 論文ID: 24-27048
タイは重要なコメ生産国で,特に東北部には国内水田の60%が位置しているが,その多くは非灌漑水田で,気象変化による影響は大きい.本研究では,水田の土壌水分量を計算することで作付け時期推定を行った.モデルの検証は2004年と2005年の観測データを用いて行い,それぞれ13.9%,8.66%の誤差となり概ね観測値が再現された.このモデルに1981年から2017年の雨量データを入力することで,この期間の作付け時期の変化を推定した.結果からは,作付け時期が遅れてきていることが示され,気象変化がタイ東北部の稲作に負の影響を与えていることが示唆された.また,将来雨量データを入力することで将来の作付け時期を推定した.結果から,作付け時期が遅れる傾向は近い将来まで継続し,遠い将来で早期化することがわかった.