2024 年 80 巻 28 号 論文ID: 23-28008
屋外用木製品は腐朽の早期発見と適切な措置で長期利用が可能となる.個人の経験や能力に頼らない効率的な診断には,客観性のある定量的な判別基準と簡易な診断手法が求められる.本研究では,防腐薬剤処理された木製立入防止柵を対象に,支柱地際部から得られたピロディン打ち込み深さ(Pe値)を用い,推定した残存強度,健全材のPe値分布,健全なPe値との差分(⊿Pe値)を基に早期劣化判別手法を検討した.その結果,初期強度の1/3を下回った場合を耐用限界と定義した場合,耐用年数は約15年と算定され,⊿Pe値から算定される耐用年数と同等の値を示した.健全材のPe値分布を用いた手法では,施工後経過年数10年程度で劣化の兆候を検出できた.本研究成果を応用することにより,点検・診断の効率化が期待される.