2024 年 80 巻 3 号 論文ID: 23-00120
令和3年11月「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律」が施行され,広島県では同法に基づき,令和4年7月に竹原市を流れる二級河川本川水系本川を特定都市河川に指定した.本稿では,氾濫域のほとんどが用途地域に指定されている本川流域を事例に,河川整備や流域対策など,特定都市河川流域への適用と課題について報告する.
主要な結論は次のとおりである.1) 本川の治水計画は内水域(用途地域)での流出抑制を組み込んでおり,段階的な整備においても河川・下水道の将来ビジョンに基づいた計画とする必要がある.2) 用途地域に指定されている流域では,貯留機能保全区域の指定,調整地等の建設など,土地利用方法に関して幅広い視点での検討を進め,地域住民・企業との合意形成を図りつつ,対応方法を検討する必要がある.