2024 年 80 巻 6 号 論文ID: 23-00235
吉川らは定常流に対する堰の流量公式を準用して規則波を対象とした直立護岸上の越波流量の算定式を与えた.合田らは,吉川らの越波流量算定式を一様斜面上の護岸の越波流量特性に適用し,不規則波を対象とした越波流量算定図表を提示した.それ以来約半世紀に亘って,合田の算定図表が実際の護岸設計に用いられている.しかし,水平床上の直立護岸に対する越波特性は十分に解明されているとは言えない状況にあった.著者らは,CADMAS-SURFを用いた数値計算及び大型水理実験を用いて,規則波に対する直立護岸上の越波特性をすでに明らかにしている.本論は,その研究をさらに発展させて,不規則波を対象として直立,消波,テラス式護岸上の越波特性を明らかにし,吉川らの算定式の準用の有用性及び合田の期待越波流量の妥当性を明らかにしている.