津波による土砂移動の数値計算は,3.11津波による地形変化の解析や,南海トラフ地震津波による影響の評価など,実用的な技術になってきた.更なる展開においては,数値計算や観測・実験結果に含まれる不確かさを評価・定量化して,数値計算の信頼性を合理的に示すことが課題となる.本研究では,米国機械学会のV&V(Verification and Validation)のガイドラインを参考に,3.11津波による沿岸域の土砂移動現象を対象としたV&Vの枠組みの構築を試みた.主な成果は,1)現象や数値モデルに対する必要な検討事項の体系的な整理,2)数値モデルが示す結果の妥当性の確認方法の提案である.また,数値計算の入力データや妥当性確認で用いる観測データへの不確かさの与え方については課題があることが分かった.