2024 年 80 巻 7 号 論文ID: 23-00183
現時点の河道の状態把握を起点として堤防川表側からの侵食・洗掘に対する破堤危険度を評価する手法を実践的に開発した.評価手法の構築に際し,2019年10月台風19号による洪水時に堤防欠損が生じた地点を含む千曲川97.5~106.5kmを検討対象とし,要素技術を具体的・総合的につなぎ合わせ危険度評価まで貫徹して試行した.2019年10月洪水前に把握しうる情報を用いて危険度評価を試行した結果,洪水前には水衝部の対岸に位置していた当該洪水での被災箇所を高い危険度の地点として検出した.評価手法の構築過程で見出した課題を,評価結果に繋がる一連の流れの中に体系的に整理し,各課題解決のための制約条件,技術開発に求める到達目標レベル,危険度評価に影響をあたえる河道・構造物データ取得の必要性等を具体的に提示した.