2024 年 80 巻 7 号 論文ID: 23-00212
過去に建設されたポストテンション方式PC橋の一部では,グラウトが完全に充填されていない事例が報告されている.本研究では,PC鋼材曲げ上げ部近傍のグラウト充填不良を模擬した供試体について,電食によるPC鋼材腐食促進実験および静的載荷実験を実施した.その結果,腐食による緊張力の低下は,PC鋼材自体の断面減少に加え,腐食ひび割れによる躯体コンクリートの剛性低下を要因とすることを明らかとした.また,せん断耐力が曲げ耐力を下回るように設計したグラウト充填不良供試体について,PC鋼材が腐食していない場合は曲げ破壊となるが,PC鋼材が腐食している場合はせん断破壊となることがわかった.最後に,3次元非線形FEMを用いて実験の再現モデルを構築した.