2024 年 80 巻 8 号 論文ID: 23-00231
浄化槽分野の脱炭素化に向けた温室効果ガス(GHGs)排出量の削減案及び方向性を検討するため,1990年度から2030年度にかけ,日本国内の浄化槽の技術開発と普及状況の変遷を踏まえた浄化槽の設置基数の推計に基づくGHGs排出量のシミュレーション解析を行った.その結果から推測される,BAUシナリオに基づく2030年度における浄化槽分野全体からの温室効果ガス排出量は,2013年度に対して-25%となり,エネルギーシフトによるエネルギー分野のGHGs排出量の46%削減を加味しても43%の削減に留まり,国内目標(2013年度比46%削減)は達成されないと試算された.そのため,浄化槽分野では,さらなるGHGs削減を指向した技術開発と新たな普及施策が必要であると考えられた.