2025 年 81 巻 13 号 論文ID: 24-13534
地震に対するレジリエンス性を有する橋梁構造とするため,耐力階層化橋脚についての検討を実施している.その橋脚には通常設計された柱部主鉄筋の他に,柱の降伏耐力と最大耐力に耐力差を設ける目的で,柱主鉄筋よりもさらに内側に軸方向鉄筋を配置する.これにより,超過作用時にはあらかじめ損傷させることを想定した下沓取付ボルトに損傷を誘導する.耐力階層化鉄筋の径および配置が異なる2体の試験体に対してこれまでに実施してきた正負交番載荷試験結果を基に,本検討では試験体の変形性能を評価し,それに基づいた試験体の損傷シナリオ検証を行った.その結果,2体の試験体は想定した損傷シナリオの通り,橋脚を過度に塑性変形させることなく,下沓取付ボルトに損傷を誘導できることを確認した.