2025 年 81 巻 15 号 論文ID: 24-15026
石礫型土石流は大きな衝撃力を持ち,砂防堰堤の損傷や住宅地等への深刻な被害を引き起こしている.砂防堰堤の被災状況を分析した結果,河床形態や既に捕捉されている土砂によって堰堤に作用する荷重が局所的に異なることが確認され,土石流荷重の詳細な解析が必要とされている.そこで本研究では,個別要素法を用いて,移動床および先行堆積礫が存在する条件下での土石流荷重の解析を行った.その結果,先行堆積礫が堰堤全体にかかる最大荷重に影響を与え,特に土石流先端が各段高さに衝突する箇所で大きな荷重が発生することが明らかとなった.また,流下から衝突に至る過程における接触力図および速度ベクトル図を用いて,先行堆積礫の存在が土石流荷重を減少させるメカニズムを分析した.