2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16008
気候変動による外力の増加を考慮したリスク評価が数多くなされている.本研究では,新宮川水系熊野川流域を対象に温暖化予測値d4PDFの解像度20kmと力学的ダウンスケーリングした解像度5kmの違いによる将来的な頻度や傾向を把握することを目的とする.本研究では,以降に示す3つに着目した.(1)支川流域や本川の流域平均雨量,(2)流域全体の流出量,(3)本・支川の同時生起,である.その結果,5kmでは実績雨量の傾向を再現しており,将来実験値で上述した3つに着目すると,20kmの雨量や流量は5kmと比較して過小評価の傾向である.少なくとも,対象流域では20kmでの本川の流量や支川流域内の豪雨の同時生起を過小評価することから,この流域内で将来予測値を使用する際は5kmが適切であることが示唆された.