2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16022
東京湾では夏季に湾奥底層で貧酸素水塊が発生し,水産資源のへい死や地球温暖化にも影響しており,根本的な解決が求められる.過去の研究において,東京湾上に風速10m/s以上の南西風が与えられることで,DOの値が急激に回復することが発見された.しかし,基準となる10m/sの南西風について,定量的に評価されておらず,限界風速が異なる可能性がある.そこで本研究では,風エネルギーを詳細に考慮したDO回復速度の推定式を提案することを目的とする.結果,2010年と2011年の東京湾の湾奥底層のDOの時系列解析により,Wedderburn数によるDO回復速度の推定手法を提案し,南西風6m/sが20時間以上継続すると,DO回復現象が発生することが確認された.また,数値シミュレーションによって,現地観測で示されたDOの回復現象を確認できた.