2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16029
本研究では,気候変動の影響を受けやすい乾燥・半乾燥地域に区分されるモンゴル高原における,草原地域と砂漠地域の遷移区間において衛星観測データを用いた植生及びその他の水文量の時空間的な長期トレンド分析を行った.対象領域における植生,降水の長期トレンドは増加傾向であるが,この特性は緯度帯や標高,季節によって異なっていた.また,北緯46度付近では,植生の分布期間は短くなっているものの7,8月は草地が南に拡大していることが示唆された.さらに,地表面温度と気温は温暖化の正の影響と降水,植生増加による負の影響を受けており,本研究の対象領域における地表面温度及び気温は,植生と降水の増加に伴い,北緯約44度を境に南北差が大きくなっていることが示唆された.