2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16031
GCOM-W/AMSR2とSMOSの各衛星土壌水分プロダクトについて,2012年7月から2020年12月までの8年6ヶ月間を対象に,世界各地の現地観測値と比較検証を行った.誤差特性の解析においては,植生量と土壌構造が土壌水分推定精度に与える影響に着目した.密な植生を有するマレーシアのサイトでは両プロダクトとも推定精度が顕著に低く植生の放射伝達モデルの改良は確かに重要である一方,葉面積指数(LAI)が1未満となる植生が疎な条件下に限定しても,特にAMSR2の推定精度は相関係数0.2~0.6に留まっており,土壌の放射伝達モデル改良の重要性も高いことが示された.SMOSと比べてAMSR2は推定精度の地域依存性が大きく,地域による乾湿分布の違いを表現できるモデル開発の必要性が示された.