2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16061
定点カメラで撮影された河川水面画像からスカム被覆率を定量化する深層学習モデルについて,複数地点への適用性を評価した.さらに,ラグランジュ粒子追跡シミュレーションに検出モデルの出力を逐次的に同化し,夜間や地点間のデータ欠損を補間することで,スカムの時空間挙動を連続的に追跡可能なシステムを開発した.その結果,ダミー画像を基に学習した検出モデルに対し,少数のオリジナル画像を用いたファインチューニングを行うことで,スカムの検出精度を向上させ,誤検知率を低下させることができた.また,検出モデルではスカムの挙動を離散的にしか把握できなかったが,同化シミュレーションでは潮汐に応じてスカムが流下・遡上を繰り返しながら輸送される様子を可視化することができ,開発した挙動追跡システムの有用性が示された.