2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16073
近年,気候変動の影響により水害が激甚化・頻発化している.また,今後30年以内の発生確率が70~80%と想定される南海トラフ地震による巨大津波の発生も危惧され,津波と洪水の複合災害も検討する必要がある.本研究では,包括型氾濫解析モデルを用いて児島湾へ流入する旭川,百間川,吉井川を対象に,複合災害時の津波遡上特性を検討した.結果,洪水規模が小さい場合の方が津波遡上距離が大きくなり,数km以上にわたって河川を遡上することが確認された.一方,洪水規模が大きくなると津波遡上距離は小さくなるが,洪水自体の影響により河川水位は上昇する.また,海域における津波の伝播方向に対する河口の入射角度が大きい河川ほど,洪水流の影響が顕著になり,水位上昇範囲が狭くなる傾向が示された.