2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16072
我が国では,様々な災害が毎年のように発生している.複数の災害が同時に発生し,インフラシステムが寸断するという空間・時間連鎖型マルチハザード(以下よりMHとする)による被害の甚大化が懸念されている.本研究では空間・時間連鎖型MH研究の第一歩として,時間連鎖型MHの事例調査・解析を行うと共に,浄水場に着目したMHポテンシャル評価を目的とする.そのため,令和4年台風15号と令和5年7月秋田大雨による浄水場の断水発生の時間連鎖型MHの実態についての現地調査を行った.また,ハザードマップと確率論的地震動予測地図を用いて,全国の浄水場における災害発生ポテンシャルを評価した.その結果,多くの浄水場で何らかのハザードによる被害の危険性があることを確認し,その中でも洪水・地震による被害が大きいことが分かった.