2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16126
本研究は,掃流砂量式を利用して土砂の「平均流送速度」を定義し,幅広い粒度分布を有する石礫床河川において土砂が河川区間を流下するのに要する時間スケールを算出する方法を検討・試行した.平均流送速度はpick-up rateとstep lengthによる方法と,芦田・道上式に基づく方法により算出する.木曽川水系長良川の谷底平野と扇状地の各10km程度の区間に対して本手法を試行した.掃流力の算定方法を比較検討した上で,47年分の流量ハイドログラフを与えて,各区間の時間流量に対する掃流力から平均流送速度及びこれを時間積分した流送距離を算出した.区間通過に要する時間を求めた結果,粒径階毎に区間通過に要する時間オーダーは大きく異なり,細礫では100~101年と試算されたのに対し,粗石は103~104年と試算された.