2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16133
九州の北西端に位置する長崎県は,気候変動の影響によって東シナ海の海水面温度上昇の影響を強く受けることから,その他の地域に比べて,局地的な豪雨が起こりやすい可能性が高い.このため,気候変動を踏まえた治水計画の検討を行うにあたり必要となる「降雨量変化倍率」について,長崎県域に着目した検証を試みた.検証に際しては,国土交通省の検討で用いられた降雨データを適用するとともに,国土交通省での検討内容を踏まえた長崎県の時空間スケールを勘案した検討条件を設定した.その結果,気温2℃上昇相当において1.16倍と国土交通省の検討結果(九州北西部1.14倍)よりもわずかに大きい値となった.一方,気温4℃上昇相当において1.32倍と国土交通省の検討結果(九州北西部1.36倍)よりもわずかに小さい結果となった.