2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16147
出水時の種子の輸送や定着は,河川環境における種子の分散過程の理解を深め,生態学的研究の基礎となる重要な知見を提供するものの,種子が定着する過程でどのような現象が起きているかまでは明らかにされていない.本研究では,砂州の前縁部をモデル化した斜め落差の落ち込み部の流れを対象として実験を行い,乱流構造と浮遊する種子の輸送について検討した.PIV計測により落差によって生じるせん断混合層近傍の流れや乱流構造の可視化を試みた.また,種子投入実験では,追跡した種子の軌跡とPIV計測結果を比較し,落差によって生じる流れ場の変化が種子の輸送メカニズムに与える影響について考察した.