2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16148
近年,ニホンウナギの個体数が激減している.その一因はダムや堰による遡上阻害であるため,魚道が併設される.ニホンウナギのような匍匐遊泳を行う底生魚が魚道を遡上するには,桟粗度のような遡上反力を支持する物体の設置が有効である.本研究では開水路底面に設置する桟粗度の断面形状を4種類,また,全長倍流速を1~4(1/s)に変化させ,平均全長200mmのニホンウナギの遡上に適した桟粗度の断面形状を探索した.その結果,横断方向に20mmおきに幅20mm,深さ5mmの凹部をくり抜いた辺長10mmの正方形桟粗度を,流下方向にニホンウナギの全長50%相当の間隔で設置する状態が最適と判明した.なぜならこの状況では,ニホンウナギは桟粗度天端および凹凸部の直角壁に躯幹を接触させて摩擦力を得られるため,流出しにくいからである.