2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16201
洪水流現象を適切に理解・予測するために,高解像度・高精度の数値解析が求められているが,計算量の増大が課題となっている.著者らが開発した平均成分加速(ACA)法は流量ハイドログラフの時間スケールの短縮と,水深の時間発展式への平均成分項の追加により,簡易に解析の高速化が可能であるが,加速倍率を大きくすると数値振動が発生する課題があった.本研究ではこの数値振動が河床勾配によって引き起こされることを解明し,さらに平均成分項への重みづけを行うことで振動を解消することに成功した.また,ACA法をGBVC3法に適用した場合には,左右岸の水位差を適切に表現し,乱れエネルギーも通常の解析結果をよく表すことが分かった.ACA法は準三次元解析法の精度を十分に保ちながら解析を高速化することが可能であることを示した.