2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16202
本論文は,洪水流と波浪を一体的に計算できる実用的な解析手法の構築を目指し,河川の洪水流解析に実績のある非静水圧準三次元解析(Q3D-FEBS)の基礎方程式系とその数値解析法を波浪の伝搬・変形,崩れ砕波に適用できるように再考し,Q3D-FEBSを拡張した(Q3D-FEBS-FWI).そして,一様斜面の崩れ砕波,波・流れ共存場の既往実験を対象にQ3D-FEBS-FWIの適用性について検討した.これらの検討から,Q3D-FEBS-FWIは波の伝搬・変形,砕波帯や波・流れ共存場における位相平均の流速鉛直分布について,その特徴を説明出来ること,砕波点付近では底面付近の戻り流れを大きく計算する傾向があるなど,Q3D-FEBS-FWIの適用性と洪水流と波浪の一体解析手法の構築に向けた課題を明らかにした.