2025 年 81 巻 16 号 論文ID: 24-16205
本研究では,水路床から剥離し流下した糸状藻類(剥離藻類)が矩形の人工魚巣に堆積しにくいような魚巣規模を分析する手法を開発した.これまで,剥離藻類を含む多量の魚巣内堆積物が魚巣内の魚類の生息空間を狭めることで,魚巣の有効性を損なう例が報告されてきた.本研究では茨城県の農業用排水路に既設の魚巣を対象とし,iRIC NaysCUBEを用い,3次元流れと円筒型の剥離藻類の3次元挙動を数値計算した.5種類の規模の魚巣を設定し,魚巣内に堆積した剥離藻類が水の流れにより魚巣外に出る割合である「流出率」を算出した.その結果,魚巣入口幅と奥行きが現在のものより一定以上低下すると,剥離藻類の流出率が低下することが示された.