土木学会論文集
Online ISSN : 2436-6021
特集号(海岸工学)論文
夏季鹿島灘浅海域における内部ケルビン波による南下流の強化について
浅木 雄登内山 雄介渡辺 萌斗佐野 朝昭橋本 孝治伴野 雅之増永 英治山崎 秀勝
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17208

詳細
抄録

 開放性沿岸域の流動は,波浪・風・潮汐・内部波・外洋からの海流や中規模渦の波及など様々な外力の影響を受ける.本研究では,典型的な開放性海岸である鹿島灘に位置する波崎海洋研究施設観測桟橋において2023年夏季に約2週間の現地観測を行った.観測期間中,寒冷前線を伴う低気圧通過後に風向が変わり,その後数日間岸に沿う南下流が強まる現象が確認された.この南下流は日周変動しており,その周波数特性,JCOPE2M再解析データから見積もられる位相速度とロスビーの内部変形半径などから,陸棚斜面上で励起された日周期内部潮汐が沿岸に捕捉され,岸を右手に見て沿岸方向に進行する近慣性内部ケルビン波に発達したものと考察された.この内部ケルビン波は,静穏期の砕波帯周辺の流動や環境に対して強い影響を与えていることが示唆された.

著者関連情報
© 2025 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top