2025 年 81 巻 17 号 論文ID: 25-17266
本研究は亜熱帯沿岸域で発生する酸素過飽和現象に着目し,マングローブ・海草藻場・サンゴ礁の隣接3生態系(連関生態系)における溶存酸素(DO)の時系列変動,過飽和発生状況,環境要因の検証を目的とし現地調査・統計解析を行った.現地調査は沖縄県石垣島吹通川沿岸域にて実施し,DO・照度等を3生態系で同時計測し,周期成分の抽出,季節性トレンド分解,主成分分析を行った.酸素過飽和現象は海草藻場で最多頻度発生し,継続時間は最長21時間に達した.海草藻場・サンゴ礁のDOは日周期で変動し,光合成や酸素消費との関連が示唆されたが,マングローブ河口DOは20~146%と,貧酸素から過飽和まで潮汐周期で変動し,潮汐による隣接生態系間の酸素循環が支配的であることが示唆された.PCA,GLM解析の結果,過飽和発生要因として水温が最も高い寄与を示した.