2025 年 81 巻 28 号 論文ID: 24-28005
既存橋梁の点検において,振動試験による固有振動数の測定は比較的安全かつ容易であり,固有振動数がわかれば有限要素モデルから部材の剛性をある程度は推定できる.本研究では木製の上路アーチ車道橋であるかじか橋を対象に,アーチ部や縦桁接合部に部分的腐朽を与え,木部材の部分的腐朽が木橋全体の固有振動数に与える影響を検討した.その結果,固有振動数はヤング率の部分的低減に伴って,二次の多項式で回帰できる高い相関を示すことを確認した.さらにこの低減曲線の回帰直線の傾きを用いて感度解析をしたところ,各振動モードにおける振動の腹の部分の感度が高く,節の部分の感度が低いことが明らかになった.また,腐朽箇所を組み合わせた場合の感度は1箇所腐朽時の感度の大きさを足し合わせたものとほぼ一致することが明らかになった.