2025 年 81 巻 28 号 論文ID: 24-28004
本研究では供用から26年経過した大断面集成材桁橋(深沢橋)の剛性や使用性について明らかにすることを目的として,タブレット端末を用いた簡易的な振動試験から固有振動数を同定し,数値解析モデルで計算したみなし架設当初の固有振動数と比較することによって,経年による橋梁全体の曲げ剛性の低下を確認した.また,単独・群衆歩行のそれぞれにおいて,振動応答の測定を行い本橋の振動使用性について検討した.その結果,橋梁全体の曲げ剛性は,みなし架設当初と比べて10%程度低下しているものの,数値解析によって算出された主桁たわみは設計仕様を満たしており,振動使用性では,歩行者が不快に感じるほどの振動応答は確認されなかった.そのため,供用から26年経過した近代木橋においても一定程度の使用性能を有していることが確認された.