2025 年 81 巻 4 号 論文ID: 23-00296
本稿では,耐力側(構造物側)の特徴をより柔軟に取り込める地震時フラジリティ曲線(FC)の構築法を提案する.その事例として,耐力側の特徴である構造形式の種別(重力式岸壁,控え矢板式岸壁)の情報を対象に,種別間で共通する特徴(被災メカニズム,照査用震度の算定法,地震時土圧の算定法)と,種別に固有の特徴(水平方向外力への抵抗機構)が混合された問題と捉え,それらの特徴の効果を別のパラメータとして評価する混合モデルとして取り扱い,それを階層ベイズモデルで表現するFCの定式化を行った.また,MCMCを用いたパラメータとベイズ信頼区間の推定法を提案した.その上で,港湾分野で蓄積された過去の地震での被災記録,再現した地震動を基に,地震後即時に得られる速度 PSI 値から岸壁の被災判定が行えるFCを構築した.