2025 年 81 巻 5 号 論文ID: 24-00145
鋼橋の補修補強工事において多用されている高力ボルト摩擦接合継手について,接合面の一方は既設部材を想定したエッチングプライマー鋼板を動力工具による素地調整,もう一方は工場製作を想定した無機ジンクリッチペイント塗装(以下,無機ジンクと記す)としたすべり耐力試験を行い,すべり係数0.4を確保できる条件について検討を行なった.その結果,この試験で行なった条件では,無機ジンクの塗膜厚を100μm以上とすることですべり係数が安定することがわかった.すべり係数0.4を得られる適用条件として,動力工具による素地調整の程度を処理前に塗布されている塗膜の残存が目視で確認できない程度とし,無機ジンクの塗膜厚を100~200μmの範囲とすることを提案した.