抄録
本研究は密閉された地下空間に建設されるRC構造物中の鉄筋の腐食挙動を解明することを目的としたものである.建設直後の構造物内は酸素が存在する酸化性環境となるが,長期的には酸素濃度が極めて低い還元性環境へ移行すると想定される.本研究ではこの一連の環境を実験的に模擬し,種々の電気化学的手法を用いてコンクリート中鉄筋の腐食を検討した結果,次の様な結論を得た.
(1)腐食速度は,温度20℃・酸化性環境では0.001~0.011μA/cm2であり,温度50℃・還元性環境へ移行後は0.013~0.056μA/cm2であった.これらの値は電気化学的手法で評価した既報と同等あるいはそれ以下であった.
(2)分極の精度に影響を与える要因は,特に電位掃引速度であった.
(3)本研究で考案した不動態保持電流法は,還元性環境での腐食速度を評価する際に特に有効であった.