2014 年 70 巻 1 号 p. 1-18
本研究では,RC部材の非線形有限要素解析における損傷評価手法の確立を目的として,コンクリートの圧縮破壊が支配的となるせん断圧縮破壊するRC部材の破壊基準としてのひずみ評価指標を検討した.面的なひずみ性状を計測可能なアクリル格子法を用い,損傷領域と損傷度を実験的に評価するとともに,3次元非線形有限要素解析による損傷評価を行った.その結果,平均化ひずみを用いることで要素寸法によらないひずみ分布性状が得られることを示し,ひずみによる損傷領域評価と破壊基準を提案した.また,提案手法を曲げ破壊するRC部材に適用し,その妥当性と適用性を示した.さらに,不静定構造物を対象とした検討の結果,構造全体の耐荷力以前における部材の破壊を評価でき,単一部材のみならず構造物中の部材の損傷評価に対する適用性を示した.