抄録
近年，寒冷地域において，凍結防止剤散布による塩害と活荷重による疲労の複合作用を受け，道路橋RC床版の早期劣化が顕在化しつつある．そこで本研究では，塩害による鉄筋腐食がRC床版の耐疲労性に及ぼす影響を実験と解析により検討した．はじめに実物大のRC床版供試体を作製し，3種類の塩害促進試験を行い，その後各供試体に対し輪荷重走行試験を実施し，鉄筋腐食状況と耐疲労性との関係を究明した．次に，3次元非線形有限要素解析を行い，床版の上側鉄筋と下側鉄筋の腐食量の違いがRC床版の疲労破壊に及ぼす影響を検討した．これらの実験および解析結果より，鉄筋腐食減量率が5%程度であっても床版の耐疲労性は明らかに低下し，下側鉄筋の腐食よりもむしろ上側鉄筋の腐食が耐疲労性の支配的要因となることを明らかにした．
