2014 年 70 巻 4 号 p. 417-427
蒸気養生を行ったコンクリートは,AE剤を用いても,必ずしも高い凍結融解抵抗性を得ることはできない.しかし,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートは,AE剤を用いることなく凍結融解抵抗性を高めることが可能なため,蒸気養生を行っても,高い凍結融解抵抗性を得ることができる.一般のコンクリートでは,骨材界面に多くの水酸化カルシウムが析出する.低温下では,骨材界面に析出した水酸化カルシウムが水に溶け易くなり,その間隙に水が溜まる.本論文では,水酸化カルシウムの溶け出した間隙に溜まる水が凍ることで膨張圧が生じ,粗骨材の周辺にひび割れが生じること,また,反応性の高い非晶質な高炉スラグ細骨材を用いた場合には,骨材界面に析出する水酸化カルシウムの量が少なくなるために凍結融解抵抗性が向上することを示す.