抄録
40%以上の鉄筋が損傷したASR構造物を対象として,打替え時の調査結果を基に鉄筋損傷のメカニズムについて検討した.損傷鉄筋の配列と44本の鉄筋亀裂の計測から,部材形状や部位といった位置関係よりも鉄筋自体の性状が損傷の有無に影響を及ぼしたと推察された.また,損傷程度の差は,曲げ加工に伴う節形状の変化とこの時発生する初期亀裂の差により異なる可能性が示唆された.鉄筋に及ぼす作用として,梁軸直交方向の切断面における内部ひび割れ分布と方向性から梁部材断面内における変形を推定した結果,主にスターラップ以深における膨張変形が推定された.以上から,鉄筋曲げ加工部はASRの膨張作用によって押し拡げられるような変形を伴い,初期の損傷や欠陥を有する鉄筋が選択的に損傷したと考えられた.