2016 年 72 巻 2 号 p. 109-125
本稿は,電磁波を用いたコンクリート中の塩化物イオン量推定技術の精度向上ならびに実用化を目的として,検討を行ったものである.最初に,コンクリート中の塩化物イオンの存在による電磁波減衰現象について,理論式による整理を行った.次に,主たる電磁波減衰要因となる「塩化物イオン量」,「電磁波伝搬距離」,「含水率」,「温度」を変化させたコンクリート供試体による実験を行い,電磁波減衰理論の適用性を確認した.さらに,実験より得られた数値データを用いて汎用電磁波レーダを用いたコンクリート中の電磁波減衰シミュレーションを構築した.その結果,各種条件下におけるコンクリート供試体中の電磁波減衰量を推定することが可能となり,電磁波によるコンクリート中の塩化物イオン量推定技術の精度向上に資する現象をとらえることができた.