2016 年 72 巻 2 号 p. 126-145
本研究は,アルカリシリカ反応(ASR)が道路橋RC床版の耐疲労性に及ぼす影響について実験的に検討したものである.実物大に近いRC床版を作製し,環境条件の異なるASR促進試験を行った後,水の作用の有無に着目した輪荷重走行試験を行い,各種要因がRC床版の耐疲労性に及ぼす影響を検討した.その際,所定の輪走行回数におけるRC床版のたわみやひび割れの発生状況を調査すると共に,小型加振器を用いた強制振動試験を行い,ASRおよび疲労による床版の剛性低下を評価した.その結果,ASRを生じたRC床版の耐疲労性はASRによる損傷状況に依存することを明らかにし,ASRによるケミカルプレストレスの導入およびひび割れの進展と水の作用が相互に影響することを示した.さらに,これらの影響を評価する上で振動試験が有効であることを明らかにした.