2016 年 72 巻 2 号 p. 165-180
本研究では,AFRPシート緊張接着工法によるRC梁の合理的な曲げ補強設計手法の確立を目的として,断面寸法,主鉄筋比,せん断スパン比,シートの体積補強割合および導入緊張率を変化させた全35体のAFRPシート緊張接着曲げ補強RC梁の静載荷実験結果をとりまとめ,本工法で補強した各RC梁の曲げ耐荷性状およびシートの剥離性状に関する検討を行った.検討の結果,1) AFRPシート緊張接着補強を施すことにより,RC梁の曲げ耐荷性能が向上し,かつピーリング作用に伴うシートの部分剥離が抑制されること,2) 無緊張AFRPシート接着の場合と同様に主鉄筋降伏領域が大きいほどシート剥離が発生する傾向にあること,などが明らかになった.また,これらの検討結果に基づき,緊張接着曲げ補強RC梁の破壊形式予測式の再評価を試みた.