2016 年 72 巻 2 号 p. 68-82
本論文は,風車RC基礎接合部において,実測及び数値解析に基づく応答分析により疲労評価手法を示したものである.はじめに,実風車の長期振動計測により作用-応答関係を検証し,風向によらずタワーは楕円軌道を描くことから,曲げモーメントは多方向に生じることを示した.次に,非線形有限要素解析により終局に至る過程のシミュレーションを行い,基礎接合部コンクリート限界状態を設定した.さらに,振幅と入力方向をパラメータとして繰返し荷重を入力し,限界状態の判定に各種評価指標を適用することで,対象風車基礎部の疲労損傷評価手法を示した.その結果,多方向入力による基礎部の損傷は,一方向荷重下に比べ,限界状態に達するまでの繰返し回数が大幅に減少すること,過大荷重による損傷履歴がその後の疲労損傷に影響を及ぼすことを示した.