2016 年 72 巻 2 号 p. 56-67
ずれ止めを設けず部材軸直角方向にせん断補強鋼板を配置した鋼コンクリートサンドイッチ部材の地震時変形性能に関する研究は非常に少なく,噛み合わせ継手で鋼製エレメントを接合した部材の軸力作用下における曲げ変形性能を定量的に評価した研究が無い.そこで,まず実物大の交番載荷試験からコンクリートには局所的なひび割れが発生することを確認し,非線形有限要素解析を用いてこの局所的なひび割れが開口していくことにより曲げ変形が進むというメカニズムを明らかにした.さらに,せん断補強鋼板に挟まれたブロックの回転変形を累積することで,曲げ変形量を簡便かつ定量的に評価できるモデルを提案し,載荷試験や有限要素解析によってその適用性を検証した.